EAPの始まりはアルコール依存症??
EAPはEmployee Asisstance Programの略で、アメリカのアルコール依存症患者への支援が起源です。当時のアメリカでは飲酒は社会問題となっており、禁酒法の制定や治療薬の開発など様々な取り組みが行われてきました。
そして1935年にボブ&ビルの2名によりAAが誕生します。
AAとは
「①本人のみの参加②匿名での参加③組織化されていない個別グループ」であることを特徴とする語りの場です。(断酒会と近しいですが、別物です)
AAにおいて辛い過去やこれからの思いを人前で語ることで、どんな治療薬や法律でも改善できなかった依存症を克服する人々が現れ始めました。
ここで注目されたのは2つの特徴でした。それは・・・
①主体的に自ら語ること
②同じ境遇の方と繋がること
こういった要素が当事者に「希望」や「勇気」を与えたと考えられています。
すると従業員の主体性やパフォーマンス向上のため、多くの企業でAAの動きが取り入れられることになりました。健康やキャリア、家庭問題など様々な問題を語ったり相談したりすることで、管理職の介入も容易になり、各従業員が持つパフォーマンスを100%発揮できるようにすることで企業の生産性向上につながったのです。
現在のEAPはどうなっているか?日本は大きく遅れている!!
現在アメリカの企業ではポピュラーな制度として浸透しています。世界的ビジネス誌『フォーチュン』によると掲載企業のうち、上位500社の95%、上位100社では全企業に導入されているほどです。
ところが、日本においてはまだまだ浸透していないのが事実です。EAP=メンタルヘルス対策と安易に思われることが多く、重要視されにくい状況が続いています。
2000年に政府が公表した「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(「労働者の心の健康の保持増進ための指針」に改訂)」でEAPが事業場外資源として取り上げられ、少し知名度は上がってきましたが、個人的にはまだまだ足りないと考えています。
本来のEAPは生産性やパフォーマンスを下げる要因(人間関係、家庭問題、病気や障害など)と高める要因(職場環境、仕事へのやりがい作りなど)を両方の側面から支援をし、従業員も企業も最大のパフォーマンスを出すことが目的です。
従業員の匿名相談やうつ病対策を行うだけのものではございません。
コロナウイルスで業績やモチベーションも下がり、不安が多い今だからこそ、最大のパフォーマンスにするためにEAPを活用されてみてはいかがでしょうか?